高校生の頃に浅草演芸ホールお盆特別興行に『住吉踊り』を目当てで見に行った時の事。
次から次へと出てくる師匠方先生方が立ち見の方も大勢いる超満員のお客さんを沸かせる中で高座に出てきた圓平師匠、ネタは『ぞろぞろ』、さっきまで爆笑の渦だった客席が水を打ったような静けさ、これだけの人がいてこんなに静になるんだと思ったのを覚えています。
話は進んでいよいよサゲの一言、その瞬間今まで水を打ったように静だった超満員のお客さんが大爆笑、本当にお腹にドカーンと笑い声が響いた気がしました
その時の私が抱いた師匠に対しての感想は”カッコいい”
二ツ目になり数年後に『住吉踊り』に入れて頂き圓平師匠とも面識が出来たので『ぞろぞろ』の稽古を付けて頂きました。
嬉しかったですが “こんな風には出来ないや” とも思いました。
今月の勉強会で久し振りに高座に掛けようと思い録音を聞きながら “師匠はお元気かなぁ” と考えていたので訃報を知り驚きました。
所属する協会も違いますし親しくさせて頂いていたわけでも無いので、亡くなられた師匠について文章を書くのは個人的なブログとはいえ違う気もするのですが、私の客席に座っていた頃の寄席の思い出の中で間違い無く五本の指に入る印象深い高座でしたので文字にしておきたくなってしまいました。
あの時の師匠のような高座が出来るようになるには後何年掛かるやら。